銀行に口座を開設した顧客は、開設から90日間に4回のフォローで満足度が最も高くなる

銀行で新しく口座を開設した顧客にどの程度の頻度でフォローアップをすると、満足度やクロスセルが最も高いだろうか。J.D.Power and Associatesの銀行満足度調査とコンサルティング会社Harland Clarkeのホワイトペーパーから考察してみたい。

銀行で新しく口座を開設した顧客にどの程度の頻度でフォローアップをすると、満足度やクロスセルが最も高いだろうか。J.D.Power and Associatesの銀行満足度調査とコンサルティング会社Harland Clarkeのホワイトペーパーから考察してみたい。

この記事のまとめ

  • 新規の銀行口座開設顧客の3割が1年以内に離反する可能性が高い。
  • 口座開設の14日以内から90日までのフォローアップが大切である。
  • フォローアップを受けた顧客は、そうでない顧客より満足度もクロスセル率も高い。
  • 口座開設後90日以内のフォローアップコンタクトは4-5回が最も満足度が高い。
  • フォローアップの質を高めるために、開設理由などの顧客情報を活用すべき。

新しく口座を開設した顧客の2割~3割が1年以内に離反している。

Attrition during the first year ranges from approximately 20-30 percent – that’s two times higher than the rate of attrition among established account holders. (新しく口座を開設した顧客が1年以内に離反する割合は約20-30%である - これは定着した顧客と比較すると2倍以上の割合である。)

130423_bank-300x120Harland Clarke National Relationship Databaseの調査結果だ。ウェブサイトであれ、店頭でのキャンペーンであれ、多くの金融機関が新規の口座開設にそれなりのお金と時間を投資しているだけに、1年後に3割もの顧客が離反してしまったのではもったいない。

これは誰もがなんとかしたいと思っていることだろう。 ここでは離反を、口座解約及び預金額の大きな減少を伴う顧客と定義しているようだが、預金額に変化がなくとも口座を開設したまま動きがない顧客も多数存在するはずだ。それを考えると口座開設直後の顧客へのフォローアップはますます重要になる。

You don’t get a second chance to make a good first impression. That is why relevent communication must begin in the first 14 days, (新しく口座を開設した顧客に対して、適切な内容のフォローアップを口座開設から14日以内にスタートさせる必要がある)

第1印象が大事、というのはビジネスに限らずの話であるが、銀行口座においても同様だ。開設から14日以内にフォローアップを始め、最初の90日間がその後1年間での離反率に大きく影響を及ぼすとの主張だ。では実際に口座開設直後の顧客へのフォローアップコンタクトにはどのくらいの効果があるのだろうか。

口座開設間もない顧客へのフォローアップコンタクトは、顧客満足度とクロスセル率両方の向上に影響する

J.D.Powerの調査では、口座開設後どのようなフォローアップを受けた顧客が最も満足度が高いのかを、J.D.Power Satisfaction Index という独自の顧客満足度指標を利用してまとめている。

Source: J.D. Power and Associates 2009 Retail Banking Shopping Study, Harland Clarke 10 Strategies for an Award-winning On boarding Process
Source: J.D. Power and Associates 2009 Retail Banking Shopping Study, Harland Clarke 10 Strategies for an Award-winning On boarding Process

 

それによれば、口座開設後何らかのフォローアップコンタクトを受けている人ほど、その金融機関に対する満足度が高いという結果が示されている。また、購入している商品数(すなわちクロスセル率)も満足度と比例して高くなっている。

新規で口座開設をした顧客は、開設から90日間で4-5回コンタクトされると満足度が最も高い

それでは、フォローアップコンタクトの頻度はどのくらいが適切だろうか。顧客の都合を考えずに毎日のようにメールや電話でコンタクトすれば、満足度を下げてしまい離反を加速してしまうだろう。それに関しても、先のJ.D.Powerの調査は興味深い調査結果を示している。

Source: J.D. Power and Associates 2009 Retail Banking Shopping Study, Harland Clarke 10 Strategies for an Award-winning On boarding Process
Source: J.D. Power and Associates 2009 Retail Banking Shopping Study, Harland Clarke 10 Strategies for an Award-winning On boarding Process

 

口座開設からフォローアップコンタクトが2回未満の顧客と、2回以上の顧客では満足度に大きな差がついている。興味深いのは、1回目のフォローアップコンタクトではあまり差がでないものの、2回目以降では満足度に大きな差がみられることだ。

更に興味深いのが、5回以上のフォローアップを受けた顧客の満足度だ。コンタクト回数5回目から満足度は徐々に低下していくという結果になっている。現状、口座開設から90日以内に5回以上の電子メールや電話フォローなどを行っている場合には、顧客満足度低下の要因になっているかもしれない、と疑ってみるべきだろう。

最適なメッセージを送るために、口座開設時に取得しておくべき5つの顧客情報

この調査では、顧客へのフォローアップコンタクト頻度と満足度・クロスセル率に関して定量的な調査が行われているが、その内容にまでは触れていない。当然であるが、同じ1回のコンタクトでも、顧客が関心を示すメッセージが含まれたものと、そうでないものとでは、満足度やクロスセルへの影響は大きく異なるだろう。顧客に対して適切なフォローアップコンタクトをするために取得しておくべき重要な5つ顧客情報を 最後に紹介する。

  1. Why the account holder opened the account -なぜ顧客はその口座を開設したのか?
  2. The new account holder’s primary financial goal -新しい口座で顧客は何を達成したいと思っているのか?
  3. Who the primary decision maker is on the account -最終的な意思決定者は誰か?
  4. The preferred channel of communication -どのチャネル経由でコンタクト・コミュニケーションを希望しているか?
  5. What type of accounts the customer or member holds elsewhere -他の金融機関でどのような種類の口座を保有しているか?

こういった顧客情報を口座開設時にアンケートなどで把握し、その後のフォローアップコンタクトに活用すべきだという提言だ。これを機に、口座開設時のアンケートの内容も見直してみる価値があるかもしれない。

まとめ:新規に口座を開設した顧客の離反を少なくするために重要な示唆

  • 新規の銀行口座開設顧客の3割が1年以内に離反する可能性が高い。
  • 口座開設の14日以内から90日までのフォローアップが大切である。
  • フォローアップを受けた顧客は、そうでない顧客より満足度もクロスセル率も高い。
  • 口座開設後90日以内のフォローアップコンタクトは4-5回が最も満足度が高い。
  • フォローアップの質を高めるために、開設理由などの顧客情報を活用すべき。

金融機関の口座開設は、マーケティング活動の1つのゴールとして非常に重要だ。口座開設で満足せずに、獲得した新規顧客に対する適切なフォローアップがその後の購買行動に影響することを重視し、獲得後の施策に関しても考えておくべきだろう。

記事の引用元:Harland Clarke 10 Strategies for an Award-winning Onboarding Process,  J.D. Power and Associates 2009 Retail Banking Shopping Study  

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