本格的にマーケティングプラットフォームへと変貌を遂げるAdobe Adobe Digital Marketing Forum 2013レポート

Adobe Digital Marketing Forum 2013レポートです。

2009年のオムニチュア買収以来、Web解析ソリューションというイメージの強かったAdobeだが、ここ数年でデジタルマーケティング領域のプラットフォーマーとしての認知度が大きく向上してきた。昨年はCMSソリューションのCQ5(Day社)を買収し、コンテンツオーサリングから解析までをAdobe製品で担えるようになった。 昨年は、Adobe Innovation Forumとして開催していた東京のAdobeイベントが、今年は堂々とAdobe Digital Marketing Forum 2013とデジタルマーケティングと銘打っているところにも自信が伺える。今年は、六本木のグランドハイアットで開催されたこのAdobe Digital Marketing Forum 2013、イベントの印象やセミナーの内容などをレポートしてみたい。

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様々な製品を5つにソリューション化し、制作から広告、分析まで一気通貫したデジタルマーケティングプラットフォームの全貌が明らかに。

デジタルマーケティング領域のソリューションを多く保有するAdobeだが、Catalyst(アクセス解析)とTest&Target(A/Bテスト・多変量テスト解析)以外のソリューションはなかなかイメージがつきにくかったという方は多いのではないだろうか。 今年3月のソルトレイクシティのイベントで発表されたように、これらをわかりやすく5つのソリューションに分類し、Adobe Marketing Cloudという形でリブンラディングされAdobeのデジタルマーケティングに関するソリューションの全貌が明らかになっている。その5つとは、

  • 解析ソリューションのAdobe  Analytics
  • パーソナライゼーションやA/BテストなどのAdobe Target>
  • ソーシャルメディア領域のAdobe Social
  • 広告最適化のAdobe Media Optimizer
  • オーサリング関連のAdobeExperienceManager

だ。様々ソリューションを組み合わせて利用することの多かった企業にとっては、シンプルに1つのソリューションで様々な取り組みをカバーできるようになった。また、解析からオーサリングまでフルラインナップの全貌も掴みやすく、Adobeを選択肢とする企業にとっても導入のハードルが下がったと言えるかもしれない。

Adobe AnalyticsとAdobe TargetでWebのパーソナライゼーションの本格化を強調するAdobe。オフラインの情報を巻き込んだパーソナライゼーションにはまだ時間がかかるか。

個別セッションでは、Adobeのコンサルタントやユーザー企業による個別テーマのセミナーが多数行われていた。アクセス解析領域だけではなく、ソーシャルメディアから広告の最適化、CMSを利用した制作業務の高度化など様々なテーマが行われていたことがこれまでとは大きく異なる印象だった。 マーケティングマネージャの国和氏による「分析とパーソナライゼーションで、データを成果に」では、これからのWebエクスペリエンスは企業が保有する様々なデータを活用したパーソナライゼーションこそが、デジタルマーケティングの成果を大きく向上させるだろう、という自社の事例を用いたセッションが行われていた。 残念ながら、オフラインデータを活用したパーソナライゼーションを実現するプレミアエディションは、日本市場向けにはまだ投入されないとのことではあったが、クッキーを活用したWebパーソナライゼーションへの可能性を大きく感じさせるものであった。

データドリブン企業としての楽天とベルメゾン(千趣会)の違いが興味深い。

本邦ECサイトの雄・楽天では、Adobe Analyticsのアカウントをおよそ4200名の社員が持ち、毎日900ログインをカウントするほど組織的に導入が進んでいた。

アクセス解析・Web最適化推進チームでリーダーを務める高橋氏曰く、楽天は「データドリブンなカルチャーを持った企業」を標ぼうし、グローバル含め25カ国に数十ある事業部・一般社員をサポートする形でWeb最適化推進チームが存在。

本チームはAdobeと事業部の橋渡しをしており、事業部・一般社員の持つ役割に合わせてWeb最適化に必要なナレッジ・スキルの習得を含め全面的にサポートしている。事業部を超えて共通のルールと、事業部ごとに独自のフレームワークを持つことを両立させ、組織・仕組み・データのプラットフォームのPDCAを効率良く回そうとする現場が伺える報告であった。

一方、カタログ通販の老舗・千趣会。こちらでも、Adobe Analytics・Adobe Targetを使用した仮説検証の事例を挙げていたが、筆者はその社内への情報共有の仕方が気になった。

まず、千趣会では、売場企画のチーム60名とTarget&TestというWeb最適化チーム3名がWeb運営に携わっており、基本的にWeb最適化チームが売場企画のチームのアイデアを基に仮説立案・Webの施策の落とし込み・仮説検証を管理する、という役割分担で運営している。

そこで、販売戦略チームの光本氏曰く「Adobe Analyticsのアカウントは、敢えて売場企画のチームには共有していない」という。「何故なら、レポーティングした仮説検証結果の報告が、サプライズ的な演出になるから」だそうである。

千趣会が、Adobe Analytics(当時はSite Catalyst)を導入したてのころ。初め、光本氏のレポーティングの報告に売場企画のチームは、さして興味を示さず、眠たそうに聴いていたそうだ。しかし、彼らにWeb最適化のアイデアを募り、巻き込んでいく中で成功体験を共有・徐々に数値そのものにも興味を示すようになり、最近では定例会の会議室に入った刹那「先週の分析はどうなりました?」とメンバーから聞かれるほど、主体的に関わってくれる者が増えたそうだ。 両社の差は示唆に富む。

方や、出自がECであり従業員のデジタル・リテラシーが比較的高い楽天と、方や出自がカタログ通販であり、デジタル・リテラシーは恐らく楽天ほどでない千趣会。前者の取り組みは況や、この時代、なかなかデジタルな取り組みが社内で理解されず苦しい想いをしているWeb担当者も多いだろう中で、後者(千趣会)の取り組みの仕方は参考にすべきところも多いと感じた。

「The Last Millisecond」時代はリアルタイムマーケティングへ。

こういったタイトルの付け方はやはり米国の企業は非常にうまい。ソーシャルメディアを活用したマーケティングなどでもリアルタイムマーケティング、というキーワードが使われることが増えてきたが、Last One MileならぬLast Millisecond。顧客体験のその一瞬を最適化することが企業に求められている、と基調講演でもプレゼンテーションが行われていた。Adobe Marketing Cloudの日本での活用に、今後も注目をしていきたい。

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