インターネット広告媒体費が1兆円突破 運用型広告の割合は7割を超える

先月2月23日に電通が毎年行っている「日本の広告費」の2016年版を公表した。 それによれば、インターネット広告の媒体費(制作費用を含まない費用)が前年比112.9%と初めて1兆円を越え(1兆378億円)、広告費全体の2割を超えることとなった。

先月2月23日に電通が毎年行っている「日本の広告費」の2016年版を公表した。

それによれば、インターネット広告の媒体費(制作費用を含まない費用)が前年比112.9%と初めて1兆円を越え(1兆378億円)、広告費全体の2割を超えることとなった。

「2016年 日本の広告費」解説―拡大するインターネット広告と堅調なテレビメディアで5年連続のプラス成長

運用型広告は7,383億円(同118.6%)と伸長しインターネット広告の7割を超える

インターネット広告費と運用型広告費
電通 日本の広告費2012-2016のデータを基に弊社作成

運用型広告とは、純広告、タイアップ広告、アフィリエイト広告などと違い、「システムを活用して広告枠の期間やクリック単価などが変動的」なインターネット広告のこと。すなわち、広告配信システム上で出稿し、インターネット上でリアルタイムに入札が行われ、動的に広告が掲載される仕組み型の広告だ。

Googleの検索結果にキーワードに応じて広告を表示させる「リスティング広告」やfacebook上に広告を表示させる「facebook広告」なども運用型広告だ。もちろん、DSP経由で出稿しリアルタイムビッティング(RTB)が行われるオープンな広告市場での取引(プログラマティック広告)も運用型広告に含まれる。

これは、インターネット広告が「固定の枠に対して在庫予約型で固定単価で出向される従来型の広告」から「(Google Adwordsなど)システムを通じて、インプレッションやクリック単価を指定、オークション型で取引される広告」に大きくシフトしたことを示している。

この運用型広告の割合はインターネット広告媒体費全体の71.1%と7割を超えるところまで成長した。2012年には、約50%であったので、この数年で運用型広告が完全にマジョリティとなったと言える。

プログラマティック広告の伸びが運用型広告をさらに成長させる可能性

プログラマティック広告は、米国では既にインターネットディスプレイ広告の7割を越えたとも言われている。だが、国内においては、まだまだ小さな割合にとどまっているようだ。

More Than Two-Thirds of US Digital Display Ad Spending Is Programmatic(米国のプログラマティック広告の割合はディスプレイ広告の2/3を占める)

米国のプログラマティック広告市場動向
米国のプログラマティック広告市場動向(ソース:emarketer.com)

2015年のプログラマティック取引市場は、対前年比約120%の2,250億円と予想(Voyageグループ)

国内のプログラマティック広告市場予測
プログラマティック取引市場規模 デバイス別推計・予測(ソース:Voyageグループ)

 

プログラマティック広告が米国同様に大きく成長すれば、運用型広告の割合はまだまだ大きくなると考えられる。ただし、課題も顕在化しつつある。

1つは、質の低い媒体への広告出稿をどのように避けるか。

プログラマティック広告は、オープンな市場での広告取引によって安価な広告出稿を可能にする。

一方、ターゲット顧客の精度やコンプライアンスの側面から「この媒体には出稿したくない」といった管理の煩雑さや精度の問題は大きい。アドベリフィケーション(出稿したくないメディアのブラックリスト化)のような仕組みを活用することはできるが、精度が高いとは言える状況ではない。

PMP(プライベートマーケットプレイス)は、質の低いサイトをブラックリスト化するのではなく、限られた媒体だけが参加できるクローズドな広告取引市場だが、こうした問題を解決できるのではとの期待が大きい。

2つ目は、アドフラウドの問題だ。

昨年よりこのインターネット広告の不正に関する問題は、国内でも大きくメディアに取り上げられてきている。(日本国内に限らず、米国でも問題を指摘している識者は多くいる)

インターネット広告がますますテクノロジー・インターネットを介して取引されることで、一見してわかりやすい形ではなくなっていく。システムを活用した広告取引自体に疑念・不信感が広がれば、デジタルメディアそのものの活用に障害となってしまう懸念もでてくる。

どのような対応が有効かは、今後検討されていくところが大きいが、インターネット広告市場の拡大に際して気にしておきたいテーマであることは間違いないだろう。

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