Marketo と Eloquaを製品戦略で比較 「エコシステム」か「ワンストップ」か

「MarketoとEloquaの違いはなんですか?」

マーケティングオートメーションへの取り組みを始めて以来、もっとも多く聞かれてきた質問のひとつです。

EloquaとMarketoを戦略で比較

このような質問の意図は「ツールとしての機能の違いは何か」という場合がほとんどです。一般論として、製品価格だけを比較した場合MarketoよりEloquaの方が高い価格となることも多く「価格の違いはどんな機能差によって生まれるものなのか?」というところが知りたいところなのだと思います。

細かく具体的に見ていけば、機能の違いはあります。

例えば、Eloquaの方が扱えるデータ件数が多い、権限管理が細かくできるから多部門・グローバルで利用しやすい、データマネジメントのためのプログラム機能が充実している、カスタムデータを自在に扱える、など。一方、Marketoの方がCRM連携がシンプルに実装できるという点を評価する人もいたりします。

優劣以上に、好みの差になっている部分もあります。スコアリングが「相対評価」か「絶対評価」など。これには、どちらもメリット・デメリットが存在します。

しかし、こうした機能比較は製品選定の参考にはなりつつも、結局のところあまりこだわりすぎても意味がないとも言えます。なぜなら、「その機能は必要なのか?」という疑問が発せられたとき、「導入企業が何をしたいのかによります」ということに帰結するからです。(そしてマーケティングオートメーション導入時に、実現したい施策が明確になっていることはあまり多くありません)

そこで本記事では、機能面ではなく、MarketoとEloqua両社のイベントに参加してみて感じた「MarketoとEloquaの戦略の違い」を比較してみたいと思います。

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「エンゲージメント」プラットフォームにフォーカスしてエコシステムを大事にするMarketo

2016年に公開企業ではなくなり、プライベートファンドの下、経営陣も刷新したMarketo。CEOのSteve Lucas氏がSAP出身であることを見ても、今後はエンタープライズ企業にターゲットがシフトしていくことが予測できます。これはある意味では、長年エンタープライズ企業をターゲットとしてきたEloquaとの競合が激しくなるのではないでしょうか。

3rdパーティベンダーとの連携

様々なマーケティングテクノロジーベンダーの買収を通じ「スイーツ化」を進めるOracleと比較すると、Marketoは「エンゲージメント」部分にフォーカスし、他の部分は3rdパーティベンダーとのエコシステムによって価値を提供しようとしています。

DMPのIntimateMerger、データレイクのTreasureData、企業データ活用のランドスケープ、BIのDOMOなど、他のベンダーとの連携に柔軟性があるのがMarketoの特徴だと言えます。

マーケティングオートメーション領域への積極投資

上記のようにマーケティングオートメーション以外の領域に関しては、他社との連携を通じて価値を提供しようとするため、本業であるマーケティングオートメーション(エンゲージメント)領域にフォーカスした投資を積極的に行っています。

したがって、ABM(アカウントベースドマーケティング)機能やアド連携機能、ランディングページのパーソナライゼーションなど、製品自体のアップデートも早く、よりアグレッシブに行われている印象があります。

ワンストップでデジタルマーケティングをサポートするスイーツとしてのOracle Marketing Cloud

一方のEloquaの方はどうでしょうか。Marketoとは対照的な戦略に見えます。

Oracle Marketing Cloud=スイーツとしてワンストップ戦略

Eloquaは、Oracle Marketing Cloudの1プロダクトとして位置づけられており、スイーツとしての活用を想定している側面が強くなってきたように思えます。

DMPとしてのBlueKaiやレコメンドのMaxymizerなどOracleのマーケティングテクノロジー買収は、資金力にものを言わせて強力に進んでいます。こうした戦略は、AdobeやIBM、Salesforceと競合する方向性です。

製品の新機能に関しても、まずOracle製品であるOracle Sales Cloudとの連携機能がリリースされ、その後時をおいてSalesforceやMicrosoftとの連携機能がリリースされるようになってきました。

Eloqua(マーケティングオートメーション)との連携に大きな投資

製品への投資に関しても、Eloqua単体でできる機能を増やすこと以上に、Eloquaと周辺アプリケーションの連携部分への投資が加速しているように思えます。これは、Eloquaがマーケティングオートメーションの製品として非常に完成度が高く、現在の機能で高い競争力を持っているということを意味するという人もいます。

今後は、BlueKaiやData Cloudサービスとの連携を重視した製品ロードマップとなっているようです。

まだまだ変化が続きそうなマーケティングテクノロジー領域、3年後はわからない

以上のように、他のテクノロジーとのエコシステムを模索し「エンゲージメント」部分にフォーカスするMarketo、スイーツとしてワンストップでデジタルマーケティング全体をカバーしようとするEloquaという戦略の違いが見られます。

一方、これは両者の現時点での構想イメージに過ぎません。変化の激しいマーケティングテクノロジー業界ですから、戦略の変更がいつ行われてもおかしくない、ということには留意すべきです。

例えば、Marketoは先月末ToutAppの買収を発表しましたが、周辺テクノロジーの買収によってワンストップ化の道を模索していく可能性もあります。

Marketo、営業とマーケティングの連携支援ツールを提供するToutAppを買収

また、Oracle Marketing Cloudは、買収した製品との連携が順調に進んでいるのか、というとそうでもないという噂話も聞きます。(これはAdobeやSalesforceなどの他のスイーツベンダーも同様だと思います)

マーケティングオートメーションのMarketoとEloquaの比較は、多くの導入企業が直面する最初の課題だと思いますが、機能面だけでなく両者の製品戦略も比較してみるというのも参考になるのではないでしょうか。

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