マーケターはAIとどう向き合うべきか?

デジタルマーケティングジャーナルニュースレター

AI Experience 2018 Tokyo 2018年11月27日、DataRobot, Inc.主催のイベントが開催されました。

AI Experience 2018 Tokyo 公式サイト 

マーケティングにおいてデータの活用は重要なテーマです。そこで今回はAI Experience 2018 Tokyoのレポートと合わせて、「マーケターは今後どのようにAIと向き合うべきか」を考察します。

AIのDNAを根付かせる7つの段階

イベントの開幕を飾るのは、DataRobot, Inc.のCEO & Co-FounderであるJeremy Achin氏の基調講演でした。Jeremy Achin氏は「2020年にはAIがビジネスや生活にインパクトを与えはじめるようになり、そのようなAI化された未来において企業が行わなければならないことは、AIのDNAを企業のDNAに注入することである」と話しました。

言い換えると、これまで企業のDNAはそれぞれの企業が時間をかけて培ってきたものであり、その『企業のDNA』に対し、『AIのDNA』を急に入れてしまうことは企業の拒否反応を引き起こしてしまう可能性があります。よって、『AIのDNA』を企業に根付かせるためには、『AIのDNA』を『企業のDNA』に対して、ゆっくりと段階的に注入していく必要がある、ということでしょう。

その段階は以下のようなものです。

  • レベル0:懐疑的 / 冷笑的
  • レベル1:1つ目の成功事例
  • レベル2:社内データサイエンスチーム
  • レベル3:”自動化優先”データサイエンス
  • レベル4:データサイエンスの民主化
  • レベル5:民主化とデータサイエンティストの支援
  • レベル6:AI化

AIのDNAを注入できずに懐疑的なまま(レベル0)であれば企業として競争力を失い、やがて潰れてしまうため、まずは上層部の賛同を得た後、小さい成功事例を作り(レベル1)、社内のデータサイエンスチームを構成する(レベル2)。

そこから自動化優先のデータサイエンス(レベル3)に取り組み、能力とモチベーションの高いSEやデータエンジニア、ビジネスアナリストなどをシチズンデータサイエンティストとして民主化(レベル4、5)させていき、最終的な段階としてAI戦略とロードマップを描く(レベル6)というステップです。

また、基調講演以外の多くの講演でも目立った話題は、AIへの取り組みを推進していく中では特に以下の3点が必要であるということでした。

  • 経営層の理解
  • 専門の組織やチーム
  • データサイエンティストとシチズンデータサイエンティスト

この話はAIに限らずデジタルマーケティング全体の話として捉えられると考えています。 弊社も企業のデジタルマーケティングを支援していく中で、推進の仕方や組織のあり方の相談を受けることがあります。

デジタルマーケティングを推進する際に必要となることは、企業の経営層の理解はもちろん、専門のチームや専門家、ビジネスユーザーとしてテクノロジーを活用する体制であると強く実感します。 今後はAIもマーケティングテクノロジーの一つと同じように考えるべきものになるのではないでしょうか。

AIは魔法の杖ではない、自分たちでつくるものである

中外製薬株式会社 石部 竜大 氏の “製薬業界のマーケティング活用事例:4つのLesson & Learn ~解析精度より大事なこと~” という講演の中における、「AIはそのうちやってくるものでなく、自分たちでつくるもの」という話は非常に印象強いものでした。

弊社も自社のデジタルマーケティングにおいてAIをどう活用していくべきか?という相談を受けることがあります。その時には次の事をお伝えしています。 「当然AIに任せれば何でもできるようになるわけではありませんし、AIが何かを勝手にやってくれるわけでもありません。AIを上手に使うためにはデータが必要です。そのデータを保有しており、データについて最も理解している企業自らが、AIをつくるからこそ精度の高いものができるのです」

AIはデータドリブンマーケティングのサポーター

イベントの最後の特別講演において、日本航空株式会社 渋谷 直正 氏、滋賀大学 河本 薫 氏、DataRobot Japan シバタ アキラ氏による対談が行われました。「データを基にビジネス課題を解決できる人が不足している」という課題が明確になっています。そこで、AIをサポーターとして活用し、マーケターはシチズンデータサイエンティストとしてデータを基にビジネス課題を解決することを推進していくことが重要です。

データの可視化やレポーティングに追われてしまい、施策の改善検討に十分な時間を使えていないマーケターが多くいます。マーケターが有意義にAIを活用するためには、AIにデータサイエンスのアシスタントをしてもらい、マーケターは人が考えるべき施策に注力することでしょう。

AIと聞くと難しく感じてしまうかもしれません。しかし、マーケターにとってAIは「データドリブンマーケティングを実行をサポートしてくれるツール」と思って向き合うことができれば、より親近感が湧くのではないでしょうか。そしてAIをうまく活用することで、マーケターは効果の高いマーケティング施策の実践ができていくと考えています。

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