2019年前半戦振り返り、マーケターが知っておきたいデジタル広告3つのテーマ

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電通が毎年発表している「日本の広告費」によれば2018年日本の総広告費は6兆5,300億円、前年比102.2%となり、7年連続でプラス成長。インターネット広告費は、1兆7,589億円(前年比116.5%)、5年連続の二桁成長となり、地上波テレビ広告費1兆7,848億円に迫る結果になっています。

また、世界に目を向けるとその傾向はさらに顕著となります。電通イージス・ネットワークが発表した「世界の広告費成長予測2018〜2020」では、2018年には世界の総広告費に占めるデジタル広告費の割合は38.5%となり、初めてテレビ広告費の35.4%を上回り、その割合は2019年には41.4%、2020年には43.8%とさらに伸びると予測されています。

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本記事では今後ますます拡大していくデジタル広告領域でのトレンドを3つの観点を中心に紹介していきます。また、関連するニュースにも触れてみたいと思います。振り返りとしても参考になれば幸いです。

クリック、コンバージョン至上主義の功罪?アドベリフィケーション

昨今のデジタル広告市場の拡大、その一方で広告の”質”に対する議論も話題に上がることが多くなりました。その際キーワードとして耳にすることが増えたのが「アドベリフィケーション」の問題です。

広告の価値を毀損する要素を検証する文脈で語られることが多く、具体的には以下の3つの観点がほとんどです。

  1. ブランドセーフティ
    広告が適切なサイトに配信されているか。ポルノコンテンツや反社会的活動関連など公序良俗に反するカテゴリ、そこに広告を掲載する等でブランドイメージを大きく毀損していないか。

  2. アドフラウド
    機械(bot)や人の手によって広告の表示回数やクリック数等を不正に水増しして、過大な広告料金を請求する広告詐欺がおこなわれていないか。

  3. ビューアビリティ
    配信された広告がユーザーが視認できるように表示されているか。画面を下部までスクロールしないと見られないような掲載枠に表示されていないか。(「Webページに広告が配信された」=「ユーザーが閲覧できる広告」ではない。)

日本ではアドベリフィケーションツールを提供するMomentumなどが広告配信プラットフォームとの提携を進めていますが、今後出稿量が増えていくなかで広告主側の立場でもこの概念を理解することが今後ますます重要になっていくと思われます。

個人、インテント、位置などのデータの活用

2つ目はデータの利活用。これまでの以前DMJでもご紹介した3rdPartyによるインテントデータをはじめ、位置情報を活用した広告配信、IP特定による企業データの活用により性別や年齢といった企業視点のセグメント以外にユーザー視点でのセグメント配信がさらに推進していくと考えられます。

それに伴いデータの統合、可視化のためのCDP、DMP、BIの領域のソリューションも注目を集めています。メルカリにも導入され日本でも知名度が上がってきたLooker(Googleが26億ドルで買収)やTableau(Salesforceに158億ドルで買収)されるというニュースは知っている読者も多いかと思います。

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一方で、データの活用というと個人情報・プライバシーの問題も並行して目に触れる機会が増えてきました。最近ではFacebookがユーザー情報やプライバシーデータの保存について問題になっています。 日本ではYahoo! JAPANのYahoo! スコアが物議を醸し出したのが記憶に新しいです。

広告というテーマに閉じた話ではないですが、昨年施行されたGDPR(一般データ保護規則)への話題が一段落し、次は2020年1月施行予定のカリフォルニア州消費者プライバシー法(CaCPA)への対応ともはやデータと個人情報は切っても切れない関係というよりも確実に考慮しなければならない問題です。

IoTの普及による配信プラットフォームの多様化

最後にIoTの普及に伴う、プラットフォームの多様化について、です。 UberLyft、中国のDiDiなどのいわゆるMaaS(Mobility-as-a-Service)が日本でも認知を広げ注目を集めるようになってきました。 日本でもJapanTaxiを始めとした、タクシー配車サービスが普及してきました。 タクシーに乗る読者の方は車載タブレットを搭載しているタクシーが増えていることを実感している方も多いのではないでしょうか。

今後、国が推進するキャッシュレス決済が普及していくことを鑑みると、タクシーや屋外サイネージ等のオフラインプラットフォームへ、ユーザーの経路検索・改札通過等の移動履歴や支払い情報などのパーソナルデータの活用したデジタル広告配信が増えていくと考えます。もちろんスマートスピーカーやスマート家電、ウェアラブルデバイスもプラットフォームとして広告配信面のひとつとなることは明白です。

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配信面が増える一方で、例えばJapanTaxiのタクシー車載タブレットは顔画像識別技術を利用し、性別を特定し広告の最適化を行っています。2つ目のテーマで触れたWebサイトの個人情報・プライバシーの問題然り、タクシー乗車などのWebに離れた場所でもプライバシーは無視できないテーマです。

技術が複雑に絡み合うなか、シンプルに時代、ユーザーを理解する

今回はデジタル広告のトレンドについて3つの切り口から紹介しましたが、この3つは独立したものではなく、それぞれが相互に影響し合うテーマです。

市場の成長が早く、新しい技術がすぐに出てくるキャッチアップするのが大変な分野ですが、マーケターとして手元のクリックやコンバージョン数に終始するのではなく、モノからコトへ消費者ニーズが移行するなかより大きな視点で『時代、ユーザーを理解すること』がこれまで以上に重要になってくるでしょう。

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