【連載企画】CDPを考える上で重要なことは「カスタマーを中心に据えること」Tealiumが語るCDPの活用法

【連載企画】CDPツールベンダーロングインタビュー①〜Tealium後編〜
デジタルマーケティングジャーナル(DMJ)にて連載企画が始動。
今回のテーマは、「各CDPツールベンダーを訪問し『CDP』についてのロングインタビューを行う」というもの。 今回はTealium後編をお送りします。

前編記事:【連載企画】CDPの中心は「カスタマー」。中立性とリアルタイム性を備える「Tealium」が語る、CDPの本質とは

CDPの参考記事:カスタマーデータプラットフォーム(Customer Data Platform、CDP)とは?

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CDP(Customer Data Platform)の中でも、「中立性」「リアルタイム性」といった特徴をもつ「Tealium(ティーリアム)」。Tealiumは組織の各所に散在するデータを、あらゆるツールへ提供することを可能としている。
日本のCDPを牽引するTealiumに、自身の強みはもちろん、そもそもCDPとは?CDPを導入する際の注意点は何か?…など、様々な観点からCDPについての話を伺った。
今回第一回目のロングインタビューを引き受けていただいたのはTEALIUM JAPAN株式会社 Head of Channel Partnership 菅原 健三氏、同エデュケーションチーム テクニカル・トレーナー 海老澤 澄夫氏。インタビュワーはアンダーワークス株式会社 マネージャー 高橋 諭が務めた。    

BtoB企業でのTealiumの使い方  

高橋:
CDPの中でも特にTealiumのリアルタイム性が活かせるのはどんな状況や業種でしょうか。  

海老澤:
簡単に言うと、「情報が多くて早いサイト」「競合が多い企業」ですね。   たとえば飛行機のチケッティングサイトは世の中にたくさんありますよね。そのためカスタマーが自社のサイトを見てくれているうちにコミュニケーションをとらないと、競合サービス(競合チケッティングサイト)に行ってしまうかもしれない。カスタマーが競合サービスで飛行機のチケットを買ってしまったあとに、自社からメールを送っても手遅れだし、むしろ「今さら送ってきてもしょうがないよ」と思われ、自社ブランドが毀損する可能性すらある。   今の例はBtoC企業の事例ですが、BtoBにおいてもリアルタイム性が活きることがあります。昔はBtoBの案件というと、営業が足繁く通って案件化することが多かった。しかしTealiumを導入することにより、案件化する前から興味のあるお客様がすぐに見つかったという声をよく聞きます。また、ある企業ではクローズするまでの期間が短くなったと仰って頂いています。  

海老澤:
BtoBの話でいくと、Tealiumを一番使っているユーザーは、実はTealiumという企業自身。とくにアメリカではTealiumを徹底的に使って、BtoB営業しています。  

菅原:
日本では、Tealiumの製品サイトをどの会社の方が閲覧しているのかが、Tealium社内でリアルタイムにわかるようになっています。Tealiumのコネクタを使いSlackへ、あたかもラジオみたいにずっと流していて、自社のメンバーはいつでもその情報を見る事ができるようにしています。例えば、Tealiumの営業がお客様を訪問したあとに、もしそのお客様がTealiumのサイトを閲覧していれば、営業トークの中で興味をもってもらったんだなということがわかる、というわけですね。  

高橋:
なるほど、営業行動の可視化にも繋がる点は興味深い点ですね。 Tealiumを使うユーザー、という点にフォーカスした場合、グローバルの企業と日本の企業でTealiumの使い方は違うのでしょうか。  

海老澤:
本質的には変わりませんが、文化的な違いはあったりします。たとえばアメリカは訴訟社会なので、法律事務所がどんどんデジタルマーケティングをやっている、なんてケースがあります。デジタルマーケティングというと日本では大手企業のイメージが強いですが、海外だと病院などのノンプロフィット企業が駆使しているケースも少なくないですね。    

日本にはマーケティング戦略の旗振り役がいない事が課題  

高橋:
ここまでCDPの話を伺ってきましたが、CDP導入するのはそう簡単ではないと感じています。CDPの導入に際しての成功・失敗のポイントがあれば教えてください。  

海老澤:
CDP、すなわちTealiumはあくまでツールなので、導入したからといって何かが解決するわけではありません。CDP構築どうこうという前に、デジタルマーケティングに関する戦略や運用をどう考えるかという視点が重要です。  

高橋:
デジタルマーケティングのツールを導入したはいいものの、どう使っていいかわからないという話を、弊社でもクライアントからよく相談されます。  

菅原:
デジタルマーケティングに関する戦略や運用を考えることも当然前提として、さらに言うと、戦略策定の前にアセスメントが必要です。現在デジタルマーケティングにおいて、何が出来ていて何が出来ていないのか、そして何がしたいのか。そのためにはどんなアプローチが必要なのか。戦略上で、出来ていることと出来ていないことのギャップが認識できれば、CDPをはじめデジタルマーケティングツールを導入する下準備が出来ている、と言えるのではないでしょうか。 こういったアセスメントをせず、ただあるべきのみを考えてCDPを導入しても、どう使っていいかはわからなくなるでしょうね。 逆に絶対にやってはいけないのは「今ははこのシステムを使ってるから動かせない」と思考が縛られることです。いわゆるベンダーロックインの思想ですね。せっかくCDPがデータを収集して提供しているのに、受け取る側のシステムの問題でうまく使えないというのは勿体無い話です。   

TEALIUM JAPAN株式会社 Head of Channel Partnership 菅原 健三氏

菅原:
また日本企業で難しいのは、データの活用についての旗振り役がいないことです。   大手企業になってくると、データは組織をまたいで散在しています。広告のデータは広告部だしSalesforceのデータは営業部、といった具合ですね。なので本来はCDOのような方がいて、横断でのデータの活用についての旗を振って、データを収集して統合するように仕向ける必要があるのです。しかし、日本ではCDOという役職者が少なく、そのため実現が難しい状況と受け止めています。  

高橋:
Tealiumへ相談にくるお客様は、戦略を描ききれていない企業も多いのですか。  

海老澤:
戦略を描く企業という意味では、CDPが語られだした初期の方が多かったでですね。そういった企業は、CDPの位置付けもきちんと設定されていました。現在では競合との競争の危機感があったり、競合ではなくとも30年後に戦える企業になっているのかということに不安を覚えて相談いただくケースが多いです。  

菅原:
カスタマージャーニーを描いたのはいいんだけど、実際にはカスタマージャーニーそのままにお客様を捉えられない。あるいは連携作業にばっかり時間をとられるんだけど、なかなか戦略の実行が上手くいかない。そういった企業の方がCDPを検討して相談に来られますね。  

高橋:
各企業においてツールをバラバラに導入してしまった結果でしょうか。  

菅原:
もちろんツールががバラバラという状況もあるでしょうし、あるメーカー1社の名の下のツールだけれども内実は買収したツールであり、そのメーカーの製品群で連携が取れていないという状況もあるでしょう。その結果、ツール間のデータの連携に時間がかかってしまい困っているというケースですね。リアルタイム性が大事だと言っているのに、例えばツール間の連携に48時間かかっていたら意味がないですからね。    

CDPをハブにしたデータ連携も  

高橋: Tealiumは企業活動において全般的に使えると思うのですが、いざ導入して、いきなり全部で使いこなすというケースは少ないかと思います。どの分野で使用されやすいというのはありますか?

アンダーワークス株式会社 マネージャー 高橋 諭(インタビュワー)

海老澤:
広告分野はわかりやすいですね。おっしゃる通りTealiumは色んな分野で使っていただけます。広告で使い方を覚えて、他に展開していくケースが間々ある感じでしょうか。   例えば全日本空輸様では、某ベンダーのツールを複数使っていたのですが、そのツール間の連携ですら時間がかかるといったことがありました。加えて、ホテルのレコメンドなど、他のツールも利用している。その状態ではデータがバラバラになり、連携に時間がかかるという状態です。しかし、そこにTealiumをいれて、各ツールを包括的に連携させて使えるようにしました。  

海老澤:
またCDP導入企業側の話に戻りますが、セカンドパーティデータ連携も可能です。それ自体は珍しくはないのですが、CDPを使った連携というのは珍しいはずです。   ある企業Aが、αというキャンペーンを行いました。このキャンペーンの申し込み自体はAと提携しているBという別企業のwebサイトです。AとBは別企業であり、当然別のwebサイトなので、なにかしらの形でデータを連携させなければならない。そこでTealiumを介してデータを連携。Bのwebサイトから離脱した人に向けてAからキャンペーンの追っかけメールを行った。その結果CVRが170%ほどあがるというとても良い結果を導けました。  

高橋:
CDPでのセカンドパーティデータ連携もできるんですね。  

菅原:
概念的には昔からありました。たまたまTealiumではこの時期に最初の事例になりました。  

海老澤:
もちろんデータ連携に関しては、カスタマーの許可だったり、技術的な問題、データをそのまま渡すことの可否、カスタマーにきちんと説明できないことによるレピュテーションリスクだったり、そしてなによりプライバシーという壁はあります。しかしその辺りの壁は少しずつ乗り越え、全体的には着実に進んでいるような印象があります。    

CDPが企業文化を変える  

高橋:
先ほど「大事なのはカスタマーの視点だ」というお話がありましたが、カスタマーの視点から、CDPを使われるメリットとはどのようなものが挙げられるでしょうか。  

菅原:
直接メリットがあったとカスタマーは感じないでしょうが、今までデータ連携に48時間かかっていたので、メールなりで自分の行動をフォローされるのが、最短で48時間かかってたわけです。それが数分になったわけですから、そういう意味ではメリットですよね。

海老澤:
ある銀行の事例です。メールを送って、カスタマーが開封したらすぐに電話するという施策を実施しました。「メールをみてすぐに電話がかかってきたら気持ち悪いのではないか」という声もあったのですが、結果的にクレームはゼロですし、なによりカスタマーからは「ちょうど検討していた」と話が進むというのです。結果クロージングレートが飛躍的に上がりました。   こういった施策を繰り返していく中でTealiumのお客様からは、会社でデジタルマーケティングの施策が考えやすくなった、と言っていただいたことがあります。施策を積み重ねる中でカルチャーが変わり、結果としてデジタルマーケティングをやりやすくなっていったんですね。  

菅原:
海外の面白いお客様だと、Uberがあります。アプリだけでTealiumを利用しているそうなのですが、そういった事例は日本では少ないですね。今後こういった事例も紹介していけたらなと思います。     タグマネージャーを利用すればGDPRにも対応できる  

CDPと密接に関わるプライバシーデータ

高橋:
プライバシーデータについて伺わせてください。GDPRやITP(Intelligent Tracking Prevention)などプライバシーに関わる規制が増えている中、Tealiumでの対策はどのようになっているでしょうか。  

菅原:
コンセントマネージャーという機能があります。   これまでお伝えしているとおり、Tealiumはタグマネージャーを通して、カスタマーの宣言に対してデータを取得することも、制御することも可能です。   これがたとえばDWHだとそもそもタグの制御ができません。一般的にwebサイトには50〜100程度のタグが入っていて、カスタマーからタグを外してほしいとリクエストがあったときに、各タグを個別に調整するなんて、現実的には不可能です。   その点Tealiumではコンセントマネージャーという機能を介してタグを管理・制御し、お客様ごとにプライバシー宣言をコントロールできます。この点が評価され、GDPRに対応するためにTealiumを導入していただくといったことも海外では増えています。日本企業が海外展開するときもGDPRは遵守しなくてはいけないので、これからそういった相談は増えてくると予想しています。   他の法律などを気にされるお客様もいらっしゃいますが、Tealiumは一番厳しいGDPRに対応しているので、その点は安心していただきたいですね。  

高橋:
ITPについてはいかがですか?  

海老澤:
ITPではCookieベースで管理しているものがトラックできなくなると言われています。ただそれは正確ではありません。   ITPの特にITP2.1では、Cookieが使えなくなるわけではなく、使える期間が7日間という有効期限がかかります。一方Tealiumはリアルタイム、つまり「今」webサイトをみているカスタマーの情報を取得し、それを活かそうという思想。そのためTealiumにとって7日前の情報なんていうのは、重要性がないわけです。

右:TEALIUM JAPAN株式会社 エデュケーションチーム テクニカル・トレーナー 海老澤 澄夫氏

またCookieというと、なにかカスタマーをストーキングしているようなニュアンスもありますが、そもそもTealiumでの情報取得の目的は、カスタマーのニーズを捉えること。つまりカスタマーには最適なタイミングで最適なメッセージを送りたいということです。   そういう意味でもちろんテクノロジーは使いますが、Tealiumはユーザのエンゲージメントを高めるためのプロセスを支援している。Cookieベースのリマーケティングやアドネットワークとはその点が大きく違います。  

高橋:
最後に、Tealiumのパートナーに向けたアドバイスをいただけますか。Tealiumは中立性があって、さまざまなツールにデータを提供します。ということは、パートナー側も他のツールについての理解もなければいけないと思うのです。  

菅原:
そういう意味で言うと、「カスタマーを中心に据えること」をクライアントにお伝えしていただきたいです。   CDPという新しい概念に対して、Tealiumのお客さまは、採用時も利用時も試行錯誤を繰り返しています。そこでパートナーには、パートナー側の立場としてクライアントをリードして、クライアントが一番忘れてはならない「カスタマー志向」ということを伝えて欲しい。   パートナーからはお客様にフィットする色んなマーケティングツールを案内して欲しいんですよね。Tealiumだけでなく。色々なツールがある中で、「カスタマー指向」という視点をお伝え頂き、中立的に評価していくことがお客様のため、ひいてはTealiumのためになると考えています。  

高橋: ありがとうございました。「カスタマー中心」ですね。   菅原さん、海老澤さん、本日はお時間いただきましてありがとうございました。

左から、 TEALIUM JAPAN株式会社 エデュケーションチーム テクニカル・トレーナー 海老澤 澄夫氏|TEALIUM JAPAN株式会社 Head of Channel Partnership 菅原 健三氏|アンダーワークス株式会社 マネージャー 高橋 諭

CDPを深く知るための連載、Tealium前・後編は如何だったでしょうか?

引き続き本連載では、CDPツールベンダーへ訪問していきます。

乞うご期待。

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