【連載企画・後編】ツール導入後の課題は「組織と人」。トレジャーデータが語る解決方法とは

【連載企画】CDPツールベンダーロングインタビュー②〜Treasure Data後編〜
デジタルマーケティングジャーナル(DMJ)にて連載企画が始動。
今回のテーマは、「各CDPツールベンダーを訪問し『CDP』についてのロングインタビューを行う」というもの。 今回はTreasure Data後編(全3回)をお送りします。

CDPの参考記事:カスタマーデータプラットフォーム(Customer Data Platform、CDP)とは?

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導入成功のポイントは、組織と人材

高橋:
今度はサービス導入の話をさせて下さい。実際にトレジャーデータを導入する際には、企業にとって大変なこともあるかと思います。成功のポイントはなんでしょうか?

堀内:
ありきたりな回答ではありますが、まず何のデータを溜めて何に活用するのか、という仮説をもつことが重要ではないでしょうか。

社内で起案する時に「本当にROI出るのか」と言われるようでは、なかなか導入しにくい。「こうやったらROI上がるんじゃないか」という仮説もないのに、「とりあえずデータを溜めたい」って言われても、おそらく活用されることはないので、それだとコストがかかってしまうだけ。せっかくデジタルでPDCAを早く回せるというツールなのですから、仮説を用意して色々と施策を試していくというのが重要です。

その次の段階として皆さん同じことを口にするのは、「人」または「組織」の問題です。トレジャーデータに限らずですが、マーケティングツールは用意したので、次はそれを使いこなせるデジタル人材が欲しい、という悩みを迎えるんですね。

つまり、データもある、仮説もある、やりたい施策もある。「で、それを運用してきちんと回せる人ってどこにいるんですか? 組織ってどうやって作るんですか?」という悩みが生じるんです。

高橋:
実際、組織という観点でいうと、どういった人材が必要なのでしょうか。

堀内:
そもそもの前提として、デジタルマーケティング、あるいはデータ、CDPに対する経営層の理解が必要です。そのためにまず、経営層を納得させられる「社内政治ができるタイプ」の人材が必要。当然実際に運用することになる、ちょっとデジタルオタクっぽい人材も必要です。加えて、マーケティングテクノロジーがわかって、戦略を描ける人材。この3人がいれば完璧です。

とくに重要なのは、社内政治ができる人材。これができる人さえいれば、マーケティングテクノロジーがわからない場合にはコンサルタントに頼んでもいいし、運用する人がいなければ採用することもできます。

高橋:
社内政治には外部人材を使えないですもんね。

堀内:
実際には、大手企業でも1人で担当しているケースも多いですけどね。1人ですべて担当している。

採用するといっても、デジタルマーケティング人材なんてみんな取り合いなので、なかなか難しいし、じゃあ育てるかといってもそんな大学の教育もないし、自社で育てるのもどうやって育てていいかわからない。どうやっても皆さん苦労はされています。

ただ大手の規模だと、1人ぐらい必ずデジタルを担当したい人がいるはずなので、そういった方をあぶり出す仕掛けは作れるんじゃないかと思います。

高橋:
人材の問題は難しそうですね。デジタルマーケティングという新しい分野だからこそ、その専門職も少ない気がしています。

堀内:
トレジャーデータには数百社顧客企業がいますが、みなさん本当に同じことをおっしゃいます。大体人か組織の問題。任せられる人材がいない、上が説得に応じない、上が理解しない。だからユーザー会で顧客企業同士が知り合うと、「ですよねー」といってすぐに意気投合しますよ(笑)。

高橋:
ユーザー会があるんですね! どんなお話をされているのですか。

堀内:
そのときどきでテーマを決めて、その内容についてキーノートがあったり、参加者同士でコミュニケーションをとったり。「あの代理店どう?」とか(笑)。顧客企業だけじゃなくて、連携しているサービスとのコミュニティもありますし、全員が集まる「PLAZMA(大好評のうちに終了)」といったイベントも開催しています。

高橋:
色々とやられているんですね。

堀内:
トレジャーデータはコミュニティの力を信じているので、こういったイベントなどはかなり力を入れて運営しています。

セキュリティは技術+コミュニティで支援する

高橋:
続いて、セキュリティの話を伺わせて下さい。GDPRやITPなど、プライバシーデータに対して世の中が敏感になってきています。その中でトレジャーデータのセキュリティへの考え方を教えて下さい。

堀内:
2つ観点があると思いまして、ひとつはトレジャーデータがデータベースの堅牢性を担保するという点。これは語るまでもなく、しっかりとやっています。

もう1つは顧客企業が、きちんとデータ被利用者の同意を取ったうえで、どのデータを使うかという点です。これについては難しくて、仮に顧客企業がエンドユーザーから許諾も取らずに勝手にデータを集めるといったことをしても、トレジャーデータとしては何もできないんですよね。「やれ」と言う権利はないわけです。

もちろん、例えば弁護士と一緒に勉強会を開催して、顧客企業に受けてもらったり、テクノロジーと個人情報に詳しい弁護士を紹介したりといったことはやっています。また法改正などについては、顧客企業任せではなく、パートナー企業と協力して、サービスとして対応するといったこともしています。

高橋:
セキュリティに対しては積極的に対応しているということですね。

堀内:
おっしゃる通りです。

高橋:
顧客企業としてもセキュリティ対策に不安はあると思うのですが、トレジャーデータに相談したら、段取ってくれることもあるのですか?

堀内:
営業、カスタマーサクセス、テクニカルな運用チームが協力し対応します。

セキュリティに限らず、例えば先ほどの人材確保の話だと、デジタル推進のブランディングをしたいという企業には、PLAZMAで事例を話してもらったり。繰り返しになってしまいますが、コミュニティの力を使って解決の糸口を探しています。

新しいチャレンジが応援される仕組みを一緒に作りたい

高橋:
コミュニティというお話でいくと、我々アンダーワークスのようなパートナーと一緒にやっていきたいということがあれば教えて下さい。

堀内:
もっと表に、一緒に情報を出していきたいですよね。

それは単に事例を公開するという以上の意味があって、新しいことにチャレンジして成果を残している方が、どんどん増えるといいなと思っているんです。新しいことをやる顧客企業がいた時に、トレジャーデータは新しいチャレンジを一緒にやっていく。

そこからベストプラクティスを定型化して、どんどんテンプレ化していきたいですよね。どうせみんながやることなら共通化した方がいいじゃないですか。こういった活動が結果的に業界全体、日本のビジネス全体に貢献すると思っています。

トレジャーデータ株式会社 マーケティングディレクター 堀内健后氏(右)とアンダーワークス株式会社 マネージャー 高橋 諭

あとはアンダーワークスを含め、他のパートナーともっと対話していきたいです。他のツールのパートナーたちも、こう組み合わせたらこんなことできるよね、という情報を勉強会でもなんでもして、お客さんに提案していくというのがご一緒できるといいなと。

高橋:
新しいことにチャレンジをしていくというのは、ぜひ一緒にやらせていただきたいですね。

堀内:
ぜひ。よろしくお願いします。

高橋:
本日はありがとうございました。

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